は浅くなる。行く/\年《とし》闌《た》けて武蔵野の冬深く、枯るゝものは枯れ、枯れたものは乾き、風なき日には光り、風ある日にはがさ/\と人が来るかの様に響《ひび》く。其内ある日近所の辰さん兼さんが※[#「竹/(束+欠)」、上巻−195−4]々《さくさく》※[#「「竹/(束+欠)」、上巻−195−4]々と音さして悉皆堤の上のを苅《か》って、束《たば》にして、持って往って了《しま》う。あとは苅り残されの枯尾花《かれおばな》や枯葭《かれよし》の二三本、野茨《のばら》の紅い実まじりに淋《さび》しく残って居る。覗《のぞ》いて見ると、小川の水は何処へ潜《くぐ》ったのか、窪《くぼ》い水道だけ乾いたまゝに残される。
四
谷の向う正面は、雑木林、小杉林、畑などの入り乱れた北向きの傾斜である。此頃は其筋の取締も厳重《げんじゅう》になったが、彼が引越して来た当座は、まだ賭博《とばく》が流行して、寒い夜向うの雑木林に不思議の火を見ることもあった。其火を見ぬ様になったはよいが、真正面《ましょうめん》に彼が七本松と名づけて愛《め》でゝ居た赤松が、大分伐られたのは、惜しかった。此等の傾斜を南に上り
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