芝の上の晩餐《ばんさん》の席に就くのである。犬や猫が、主人も大分開けて我党に近くなった、頗話せると云った様な顔をして、主人の顔と食卓の上を等分に見ながら、おとなしく傍に附いて居る。毎常《いつも》の夕飯がうまく喰われる、永くなる。梢に残った夕日が消えて、樺色《かばいろ》の雲が一つ波立たぬ海の様な空に浮いて居る。夏の夕明《ゆうあかり》は永い。まだ暮れぬ、まだ暮れぬ、と思う間に、其まゝすうと明るくなりまさる、眼をあげると、何時の間にか頭の上にまん丸な月が出て居て、団欒《だんらん》の影黒く芝生に落ちて居る。
二
強烈な日光の直射程痛快なものは無い。日蔭《ひかげ》幽《ゆう》に笑む白い花もあわれ、曇り日に見る花の和《やわら》かに落ちついた色も好いが、真夏の赫々《かくかく》たる烈日を存分受けて精一ぱい照りかえす花の色彩の美は何とも云えぬ。彼は色が大好きである。緋でも、紅でも、黄でも、紫でも、碧でも、凡そ色と云う色皆|焔《ほのお》と燃え立つ夏の日の花園を、経木《きょうぎ》真田《さなだ》の帽一つ、真裸でぶらつく彼は、色の宴《うたげ》、光の浴《バス》に恍惚とした酔人である。彼は一滴の酒
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