んぢ》の途には膏《あぶら》したゝれり。その恩滴《したゝり》は野の牧場《まき》をうるほし、小山はみな歓《よろこ》びにかこまる。牧場は皆《みな》羊《ひつじ》の群を衣《き》、もろ/\の谷は穀物《たなつもの》におほはれたり。彼等は皆《みな》よろこびてよばはりまた謳《うた》ふ』
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[#地から3字上げ](明治四十五年 七月廿一日)
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村芝居
裏《うら》の八幡で村芝居《むらしばい》がある。
一昨日《おとつい》は、一字の男総出で、隣村の北沢から切組《きりくみ》舞台《ぶたい》を荷車で挽いて来た。昨日は終日舞台かけで、村で唯一人《ただひとり》の大工は先月来仕かけて居る彼が家の仕事を休《やす》んで舞台や桟敷《さじき》をかけた。今夜は愈芝居である。
十一月も深い夜の事だ。外套《がいとう》を着て、彼等夫妻は家を空虚《からあき》にして出かけた。
平生から暗くて淋《さび》しい八幡|界隈《かいわい》が、今夜は光明世界人間の顔の海に化けて居る。八幡横手の阪道から、宮裏《みやうら》の雑木林をかけて、安小間物屋、鮨屋《すしや》、柿蜜柑屋、大福駄菓子店、おでん店、ず
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