べ》の豪雨《ごうう》は幸にからり霽《は》れて、道も大抵乾いて居る。風が南からソヨ/\吹いて、「諸行無常」「是生滅法」の紙幟《はた》がヒラ/\靡《なび》く。「南無阿弥陀ァ仏――南無阿弥陀ァ仏」単調《たんちょう》な村の哀《かなしみ》の譜《ふ》は、村の静寂の中に油の様に流れて、眠れよ休めよと云う様に棺を墓地へと導く。
葬列は滞《とどこおり》なく、彼が家の隣の墓地に入った。此春墓地拡張の相談がきまって、三|畝《せ》余《あま》りの小杉山を拓《ひら》いた。其杉を買った故人外二名の人々が、大きな分は伐《き》って売り、小さなのは三人で持って来て彼の家に植えてくれた。其れは唯三月前の四月の事であった。其れから最早墓が二つも殖えた。二番目が寺本さんである。
墓地の樒《しきみ》の木に障《さわ》るので、若い洋服の医師が手を添えて枝を擡《もた》げたりして、棺は掘られた墓の前に据えられた。輿を解くのが一仕事、東京から来た葬儀社の十七八の若者は、真赤になってやっと輿をはずした。白木綿《しろもめん》で巻かれた柩《ひつぎ》は、荒縄《あらなわ》で縛《しば》られて、多少の騒ぎと共に穴の中に下《おろ》された。野良番は鍬《
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