ようだね、ねえ先生」
「東京は東京、粕谷は粕谷流で行こうじゃねえか」と誰やらの声。
「炬火が一番先だよ」
「応、然《そう》だ、炬火が一番先だ」
白無垢《しろむく》を着た女達が、縁から下りて草履をはいた。其草履は墓地でぬぎ棄てるので、帰途《かえり》の履物《はきもの》がいる。大きな目籠《めかご》に駒下駄も空気草履も泥だらけの木履も一つにぶち込んで、久さんが背負《せお》って居る。
「南無阿弥陀《なむあみだ》ァ仏《ぶつ》」
辰爺さんが音頭《おんど》をとりながら先に立つ。鉦がガァンと鳴る。講中《こうじゅう》が「南無阿弥陀ァ仏」と和する。鉦、炬火、提灯、旗、それから兵隊帰りの喪主《もしゅ》が羽織袴で位牌を捧《ささ》げ、其後から棺を蔵《おさ》めた輿《こし》は八人で舁《か》かれた。七さんは着流《きなが》しに新しい駒下駄で肩を入れて居る。此辺には滅多に見た事も無い立派な輿だ。白無垢の婦人、白衣の看護婦、黒い洋服の若い医師、急拵《きゅうごしら》えの紋を透綾《すきや》の羽織に張《は》った親戚の男達、其等が棺の前後に附添うた。大勢の子供や、子守が跟《つ》いて来る。婆さんかみさんが皆出て見る。
昨夜《ゆう
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