蹲《しゃが》んで話して居る者もある。彼は納屋《なや》の檐下《のきした》にころがって居る大きな木臼《きうす》の塵を払って腰かけた。追々人が殖《ふ》えて、柿の下は十五六人になった。
「何《なん》しろむつかしい事がありゃ一番に飛び込もうと云うンだからエライや」
「全くだね。寺本さんはソノ粕谷の人物ばかりじゃねえ、千歳村の人物だからね」
と紺飛白《こんがすり》で何処やら品《ひん》の好い昨年|母《おふくろ》をなくした仁左衛門さんが相槌をうつ。「俺《おら》ァ全くがっかりしちまった。コウ兄か伯父《おじ》見たいで、何と云いや来ちゃ相談したもンだからな。今後《これから》何処へ往って相談したらいゝんだか――勘さん、卿《おめえ》の所へでも往くだね」と縞《しま》の夏羽織を着た矮《ちいさ》い真黒な六十爺さんの顔を仁左衛門さんは見る。爺さんは黙って左の掌《てのひら》にこつ/\煙管《きせる》をはたいて居る。
「寺本さんも、こちとら見たいに銭《ぜに》が無かったから何だが、あれで金でも持って居たらソラエライ事をやる人だったが」と隅の方から誰やら云うた。
「他《ひと》が死にゃ働くなンか全くいやになっちまうね」まだ若い組の
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