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ヤスナヤ、ポリヤナ[#「ヤスナヤ、ポリヤナ」に二重傍線]と其記念を永久に愛する
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     安さん

 乞食《こじき》も色々のが来る。春秋《しゅんじゅう》の彼岸、三五月の節句《せっく》、盆なンどには、服装《なり》も小ざっぱりした女等が子供を負《おぶ》って、幾組も隊をなして陽気にやって来る。何処《どこ》から来るのかと聞いたら、新宿《しんじゅく》からと云うた。浅草紙、やす石鹸やす玩具《おもちゃ》など持て来るほンの申訳《もうしわけ》ばかりの商人実際のお貰《もら》いも少からず来る。喰《く》いつめた渡り職人、仕事にはなれた土方、都合《つごう》次第で乞食になったり窃盗《せっとう》になったり強盗《ごうとう》になったり追剥《おいはぎ》になったりする手合も折々《おりおり》来る。曾てある秋の朝、つい門前《もんぜん》の雑木林《ぞうきばやし》の中でがさ/\音がするので、ふっと見ると、昨夜此処に寝たと見えて、一人《ひとり》の古い印半纏《しるしばんてん》を着た四十ばかりの男が、眠《ねむ》たい顔して起き上り、欠伸《あ
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