わす》れなすってはなりません。夫人、御安心なさい、あなたにお目にかゝった程の者は、誰かあなたの真面目な而《そう》して勇敢な霊魂《たましい》を尊敬せぬ者がありましょう乎。誰かあなたの故先生に対する愛の助勢によって、人類に貢献された働《はたらき》を知らない者がありましょう乎。あなたがお出《いで》でなかったら、先生が果して彼《あの》偉大なトルストイ[#「トルストイ」に傍線]と熟された乎、否乎《いなか》、分かりません。先生が不朽《ふきゅう》である如く、あなたも不朽です。あなたは曾《かつ》て自伝を書いて居ると云うお話でした。あれは著々《ちゃくちゃく》進行しつゝあることゝ思います。私は其面白かる可き頁《ページ》が覗《のぞ》きたくてなりません。出版されたら、種々分明する事があろうと思います。我々一同に対してあなたは楯《たて》の一面を示される義務があります。何卒《どうぞ》独得の真摯《しんし》と気力とをもてあなたの御言《おい》い分《ぶん》をお述べ下さい。我々一同其一日も早く出版されんことを待って居る者であります。
五
今日《きょう》は七月の三日です。七年前の丁度《ちょうど》今日は、ヤ
前へ
次へ
全684ページ中145ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
徳冨 蘆花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング