るし、石が大きければ水煙も夥《おびただ》しいと云った様なもので、傍眼《わきめ》には醜態《しゅうたい》百出トルストイ[#「トルストイ」に傍線]家の乱脈《らんみゃく》と見えても、あなたの卒直《そっちょく》一剋《いっこく》な御性質から云っても、令息令嬢達の腹蔵《ふくぞう》なき性質から云っても、世界の目の前にある家の立場《たちば》から云っても、云うべき事は云わねばならず、弁難《べんなん》論諍《ろんそう》も致方はもとよりありますまい。苟且《かりそめ》の平和より真面目の争はまだ優《まし》です。但《ただ》私は先生の彼《あの》惨《いた》ましい死を余儀なくした其事情を思うに忍びず、また先生の墓上《ぼじょう》涙《なみだ》未《いま》だ乾かざるに家族の方々が斯く喧嘩《けんか》さるゝを見るに忍びなかったのであります。然し我々は人間です。人間として衝突は自然の約束であります。先生もよく/\思い込まるればこそ、彼|死様《しによう》をされた。而《そう》して偽《いつわ》ることを得《え》為《せ》ぬトルストイ[#「トルストイ」に傍線]家の人々なればこそ、彼|争《あらそい》もあったのでしょう。加之《それに》、承われば此頃では
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