かりが見つかるかも知れない。そう思って、その家へ電話をかけて女主人の都合を問い合わすと、いつも留守という返事であった。彼女が勤めていた時分にも電話をかけると、定《きま》って、女衆《おなごしゅ》の声で冷淡に、
「今留守どす」というのがそこの家の癖で、あんな不愛想なことでよく商売が出来ると思うくらいであったが、女衆の返事では、女主人は昼間から外に出て夜の九時か十時ごろでなければ帰らぬという。それがいつ訊《たず》ねても同じことなので、三度に一度は私ということを知ってわざと嫌《きら》ってそういわしているのかも知れないと疑ってみたりした。頭《てん》から会うのを嫌っているくらいなら会ったところで奥底のない話をしてくれるはずもない。先の女主人が私を向うに廻しているくらいなら女の話はもう所詮《しょせん》駄目と思わなければならぬ。そう思うと私はますますどこへ取りつく島もないような気がして、どっちを向いても京都の人間は揃《そろ》いもそろってよくもこう薄情に出来ているものだ、いっそ自分の名も命も投げ出して、憎いと思う奴《やつ》らをことごとく殺してやろうか、残らず殺すことさえ出来れば殺してやるんだがと思ったこ
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