座も手伝つて呉れます。
それから前座を勤め、あとは掛持をする人が羽織を脱げばそれを畳む、俥が来ると――その時分には小さい柳行李を持つて皆歩いてたもので其れに着替への羽織など皆這入つてゐる、それを木戸まで俥屋に渡しに持つて行きます。それから真打さんが上つて話し終つて今夜は俥屋を帰して了へ、俺は運動旁々家まで歩くなんていふ時には、どうしても其の師匠の供をして家迄行かなければなりません。さうして師匠を家に送り込んで、何か御用は御座いませんかと言つて用があればそれを足す。中には真打で酒呑みなんぞがあると、お膳立を手伝つて、そこで酒を飲んでゐるのを見てゐなければならぬ、杯はさしては呉れない、黙つて此方で酌をして上げる時に食つて居るものが実に旨さうだと思ふが、そんな顔もして見せる訳にはゆきません。終るとお膳を台所迄持つて行く、さうして愈々師匠の寝る時まで居て、師匠が休めば帰つて来ます。その時に、明日何時々々に用があるから早く来いと言はれれば、畏まりまして御座いますお寝みなさいましと言つて、それから自分の家迄歩いて帰り、茶漬けでも食つて寝てしまふ。言ひつけられた時間があるから、翌日は早く起き、師匠
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