燕枝芸談
談洲楼燕枝(二代)
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)火事《しごと》師
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)随分|満足《うけて》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ばね[#「ばね」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ごろ/\
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○
本年三月十一日、私は寄席を引退するといふことを日本橋倶楽部で披露いたしました。その事は既に新聞でも御承知の通りでありますが、抑々私が噺家にならうといふ心持を持つたのはどういふ動機からであるか、先づそれからお話を初めたいと思ひます。
どだい私は芸人の家に生れたものでは無く親は三縁山増上寺の法衣の御用を足して居りまして、代々芝の仲門前に住んでをりました。ところが父の代に、親の恥を言ふのではありませんが、相場に引つかかりまして住み慣れた仲門前を私が三つの時に引払ひ、暫く浅草の方に住むことになりました。今の菊屋橋、南杉山町といふところでして、矢張り其処で法衣商をやつて居りました。私が十八の時に又二度目の相場の失敗で
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