にもかゝはらず、むしろ青い顔だつた。
 例の奉祝行列のお終ひに小谷から慰労宴をやらうと云はれたときに、房一は道平が練吉の診察を受けたまゝになつてゐるのを気にかけてゐたことを思ひ出し、練吉をも加へて小谷と二人を招待しようと云つたのだが、小谷はそれはそれ、これはこれと云つて聞き入れなかつたので、改めて今二人を料亭染田屋に招いたのであつた。
「ほう、クレーといふのはカワラケのことかね」
 と、一向にそんなことを知らない房一が云つた。
「さうなんですよ。ですが、よく考へたもんだと思ひましたね、足もとから鳥が立つ、といふでせう、――あれとそつくりにね、かうひよいとカワラケがとび出すんですよ」
「さう、カワラケ、カワラケ云ひなさんな」
「はゝゝ、でもカワラケにはちがひない、それがかうひよつとね」
 小谷は酔つて来たのだらう、何度も同じ手真似をして見せた。
「まづい、まづい。酒がまづくなる」
 と、練吉はわざとらしく顔をしかめてみせた。
「ところがね、大石さんの銃は、あれはマネスターと云ひましたかね、あのマネスターは立派なんだけどなあ。そのわりにあたらないもんですね」
 その時、練吉はぐつと盃をつき
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