曇つて何となく冷え、急にぱつと日ざしが輝き、又冷え――そして、年ごとに絶えず繰り返へされながら絶えず或る新しさを持つて、慣れることのない、捉まることのない冬が、底冷えと疾《はや》いおびたゞしい雪もよひの断雲と刺すやうな寒風とを伴つてやつて来た。
「さうだ、君はあの時の射撃大会に出たさうだね」
と、酒が少し入るとすぐ真赤になる性質の房一は、その紅黒い顔を火照《ほて》らせ、円い身体を持扱ひかねたやうになつて訊いた。
「うん」
練吉は盃を口にふくみながら答へた。
「射撃たつて、あれはクレーとかいふものを射つんでせう。わたしはね、他に何か的《まと》でもあるのかと思つたら、何のことはない、小さなカワラケの皿をね、かうひよつと機械仕掛けでとばしてね、――そいつを射つんでせう。なるほどうまい仕掛けにはちがひないが、見てゐるとあつけないもんですな。それに音だつてね、景気よくないんですよ。ボスツといふやうな音でね」
小谷はやさしみのある顔をぽつと紅らめ、いくらか饒舌になり、それと共によけいきいきいする声で話した。
「それあきまつてる、猟銃だもの」
練吉はもうさつきから殆ど一人でぐいぐいやつてゐる
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