の袋みたいなものに目をとめた。
「何かの、それは」
「これですか――?」
と云つたまゝ、盛子は房一の顔を見てくすりとした。そして、ばさばさ音をたてて大きくひろげてみせた。それは神官の着るやうな袍《はう》だの指貫《さしぬき》に模したものだつた。おまけに、ボール紙で造つた黒い冠、笏《しやく》の形をした板切れ、同じく木製の珍妙な沓《くつ》だのいふ品々が揃つてゐた。
「これを御大典のお祝ひ日に着るんですつて」
と、盛子は大げさに滑稽な顔をしてみせた。
「ほう、ほんに! みんなある」
その一揃ひの紙衣裳を見て、道平はまじめに感心した。
「おぢいさん。これを主人《うち》が着るんですよ。主人ばかりぢやない、町の戸主はみんな! それこそ、代人はできないんださうですよ。そして、御神輿《おみこし》の後について町中を行列して歩くんださうですよ。――まあ誰が考へ出したんでせう! さぞいゝ恰好でせう! ねえ」
房一は擽《くすぐ》つたさうな顔をしてゐた。
「さうか。うちの方では山車《だし》を引いて出るさうだ。それから、みんな紋付に羽織袴といふことだの」
「それあ、あつさりしていゝですな。こつちでは山車が生
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