汰だつた。その息づまるやうな情景が頭に閃《ひらめ》いた。
房一のまはりには三人の男が立ちかこんで、黙つて治療の様子を見まもつてゐた。背中をむき出しにして横向きに寝た男は、傷を洗はれるときに呻《うめ》いた。血の気の引いたその顔にはどす黒い蒼白さが現れた。
「痛むか?」
男は眼を閉ぢたまゝだつた。
傷は三箇所を縫つた。
顎から後頭部にかけてと背部と二所を大きく繃帯でぐるぐる巻きにされた男は、やがて待合室へつれて行かれ、ごろりと転がされた。はじめからしまひまで一言も口を利かなかつた。
真黒い顔の男が傍によつて訊いた。
「どうだ。起きられるか」
その時やつと、男は少しうなづいた。そして背中に負はれて出て行つた。
「どうも、済んまへんでした」
半シャツの男は房一の前に来て、はじめてお辞儀らしい格好をした。
「もう一人後から来るかもしれませんが、そしたらよろしく頼んます」
「――?」
房一は目を上げて何か訊きたさうにした。それを押へるやうに、
「なあに、後から来るのんはほんの擦《かす》り傷みたいなもんやから、大事ありません。――時にせんせい、何んぼ差上げたらえゝでせう?」
云ひな
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