ながら何か云つてゐた。
房一は手足を洗ふと、簡単に診察着をひつかけて表へ廻つた。
そこには一人の男が顔を手拭で蔽はれたまゝ、一種普通でない様子で寝かされてゐた。手拭の下からは赤黒く汚れた額の一部と、土埃にまみれた頭髪とがはみ出してゐた。その傍には、やはり印袢纏着の真黒い顔の男がついて、ぽかんとして戸外を眺めてゐた。
房一がそこへ出るのと、さつきの二人が表から入つて来るのと同時だつた。
半シャツの男が進み出た。
「せんせい[#「せんせい」に傍点]ですか」
関西|訛《なまり》の特長のある呼び方で、彼はちよつと頭を下げた。それはお辞儀といふよりも、何か強談を持ちかけるといつた工合の、一種の身構への感じられる強《き》つい調子だつた。
「さうです。――どうかなさつたかね」
房一はその時|逸《いち》早く、横に寝かされてゐる男の投げ出した手首に血がかすりついてゐるのを、そして寝ながら立ててゐる片足のズボンの膝のあたりにもどす黒い斑点の沁みてゐるのを見てとつた。
「へえ。――わし達は小倉組の者ですが、ちよつと怪我人ができましたよつて、せんせいに御面倒かけに上つたんですが」
口を利くのは半
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