。目の上の瘤がなくなつたから、いよいよ本性を出したといふところだらう」
「それあ、しかし、何だな、知吉さんも今まで不服だつたのをこらへてゐたんだな、何分かの理窟はあるわけだね」
「ふむ、毛嫌ひされて、孫ができてからやつとこさ婿養子になつたんだからね。――しかし、今ぢや正当な相続人だから、喜作さんに分けた分も自分の物だといふ理窟なんだね」
「何でも大分前からこゝの御隠居にかけ合つてゐたさうぢやありませんか」
「理窟があるやうな無いやうな話でね。こゝの隠居は相手にならなかつたから、たうとう訴訟といふ所まで来たんだらうが、何しろ相沢の先代とこゝの隠居とは兄弟だしね、――どんな理窟があるにしてもあまり賞めた事ぢやないね」
「知吉さんはこれまで散々踏みつけられて来たんだから、自分が戸主になつてみるとこれまでの腹いせといふ気もあるんでせうな」
「まあ、それあ――」
 その時、千光寺の住職がひよろ長い姿を現はした。彼はたつた今さつき剃《そ》つたばかりのやうな青いつるつるな頭をしてゐた。今夜の主役だといふ意識がさうさせたのだらう、もつともらしい儀式ぶつた表情のまゝ、彼は集つた人達には目もくれずにまつす
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