人、糊つきの網絹で面覆《トウル》をした婦人たち、彼女らの不可解な胴緊衣《ボディス》、ずぼんの上から欧風|襯衣《シャツ》の裾を垂らして、ゆらりゆらりと荘重に歩く金融業者《チェティス》、眉間に白く階級模様と家紋を画いている老貴族、額部に宝石を飾った若い女の一行、そのあいだに砂塵を上げて、満員の電車と、レヴィニア丘行きの乗合自動車が驀進してくる。
私達も、自動車を駆って郊外へ出た。
市街をあとにするが早いか、場末に当る区域はなくて、すぐに田舎である。砂ほこりが私たちを追っかけて来る。緑樹に挟まれた赭土《あかつち》の道が、長く一ぽん私達の前に伸びて、いたるところに新式の農園が拓かれつつあるのを見る。古い土に若い力が感じられる。ココナッツの森を越すと、陽にたぎ[#「たぎ」に傍点]っている水田の展望だ。玉突台のような緑野の緩斜面だ。そこここに藁葺《わらぶ》きの小屋がある。花壇のなかに微笑して建っている。マグノリアのにおいがする。村の入口では子供が出迎える。車が通る。馬のかわりに水牛が牽《ひ》いている。瘤牛《ジイブ》が畑を耕している。その角はすべて美々しく彩色され、頸には貝殻の襟飾りだ。田園のあ
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