ぐハイシムの宝石店だ。微笑しているシンガリイス人の一団と、眼を射るような彼らの陣羽織《テュウニック》だ。特産と好奇の店頭と、ライス・カレイの料理店だ。そして、カルジルの洋物百貨店と、マカン・マアカアの装身具屋だ。白孔雀は路傍の大籠に飼われ、手長猿は人の肩に止まり、蛇使いの女は鼻孔から蛇の頭を覗かせて、喇叭《らっぱ》と腕輪のじゃらじゃら[#「じゃらじゃら」に傍点]で人をあつめる。
見るべきものがあまりに多く、それが一時に四囲に殺到してくる。船中の倦怠に慣れた耳と眼の感覚には、これはどうかすると強すぎる色彩であり、刺激である。何にしても、この太陽美の甘酔! 直視すべく眼が痛い。
近くはこの欧羅巴《ヨーロッパ》区域。
広い散歩街の両側に、屋内通路《アルケイド》と、赤、緑、白に塗り立てたおもて口、漆喰細工の稚《ちいさ》い装飾、不可解に垂れ下った屋根、多角形に張り出ている軒、宝石・象牙・骨董を商う店、絹地屋――など、これらの商店はどこも象の模様で食傷している。象の刺繍、象の置物、色琺瑯《エナメル》製の象の吊垂灯《ペンダント》――そして、ちょん髷《まげ》の人力車夫と、ヘルメット帽の赭顔《あか
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