と、印度《インド》塔の急傾斜屋根と、未完成のような前庇《ファサアード》をもって、くっきりと天空を限り出す。
港は、H丸の欄干《レイル》の下に、一日の生活を開始した。検疫を迎える小梯子の周囲は、黄色い旗をかざした水上警察艇と、一刻も早く上船しようとする土人の両替舟とで、水の見えないほど詰っている。白い袴《スカアト》をはいて頭髪を髱《シイニョン》に結んだ長身の男たち。青い海を背に、眼の大きな鳶《とび》いろの彼らの顔と、その独木舟《バラグワ》と、微かに漂う香料と、原色縞の首巾《スカアフ》と、隠見する黄金の腕輪と――私は、印度《インド》のすべてを、この一望のうちに看取した気がした。
ポケットに印度貨《ルピイ》を鳴らす両替人。ロリアンテルやル・ギャレ・ファスなどのホテルの客引き。みんな真率で、気高い美男の印度《インド》の人たちで船は急に重くなり出した。
男の結髪《シイニョン》に挿した貝の櫛、サアロンと呼ぶその腰布、ヴェテという着物、なかにはベルトつきの悪くモダンな洋式上衣や、理髪師の仕事服を一着に及んでいるはいから[#「はいから」に傍点]なのもある。
小蒸汽で上陸する。
桟橋を出ると直
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