る。それは、欧羅巴《ヨーロッパ》でもなし、亜細亜《アジア》でもなし、そうかといってあふりかでもない。言わば、この三つの大陸を結ぶ運河の口の共同バザアなのだ。白色と有色と、二つの文明のどちらから見ても堰《せき》に当っている。だから、まるで蛇籠のように、両系統の文化の流れの汚物ばかりが引っかかってポウト・サイドはこんなにもこの強烈な日光に臭く蒸れているのだ。
 これは、商店だけで出来ている町なのかしら。住宅というものが眼に付かない。
 安宝石の店の猶太《ユダヤ》人の鼻、菓子屋の女のよごれたエプロン、仏蘭西《フランス》語の本屋の窓に出ている裸体写真、東洋煙草店、大道でメロンの切売り、果物屋の蠅《はえ》、自動車庫の油の小川、塵埃《ごみ》だらけの土産物店の硝子《ガラス》箱、その中の銅製花瓶、象形文字の敷物、ダマスカス鉄の小武器、すふぃんくす形の卓灯《スタンド》、金箔塗りの装飾網、埃及柱《オベリスク》を象《かた》どった鉛筆、その他考え得られるすべてのナンセンスが、憧憬の東洋の夢として売りに出ている――BRAVO!
 それにしても、全市民が家を空《から》に、街頭に伏兵して私たちを待ち構えていたに相違
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