ニ水へ投げ込むことか?――GOD・KNOWS。

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 畏友リンピイ・リンプの驚嘆に値する発明的企業能力は、これだけでも充分以上に合点が往ったろうと思う。加うるに、この出張売春婦のPIMPをつかさどるかたわら、第三にそして最後に、彼はほんとの「しっぷ[#「しっぷ」に傍点]・ちゃん[#「ちゃん」に傍点]」をも兼ねていた。ほんとのしっぷ[#「しっぷ」に傍点]・ちゃん[#「ちゃん」に傍点]てのも変だが、実はこれも、一つの準備行動として彼にとっては必要だったのだ。と言うのはつまり、いよいよ生きた商品を持ちこむに先立ち、まず斥候といった形で、無害でゆうもらす[#「ゆうもらす」に傍点]な海の人々の日用品――それも陸での概念とは大分違うが――を詰めた鞄《ケイス》と、何食わぬ顔《フェイス》とをぶら[#「ぶら」に傍点]提げて、あたらしく入港して来た船へ、検疫が済むが早いか最初の敬意を払いにゆく。こうしてその船の徳規《デサイプリン》や乗組員の財布の大きさを白眼《にら》んでおいて、いわゆる「|岸に無障害《コウスト・イズ・クリア》」と見ると、そこではじめて、夜中を待って本業の女肉しっぷ・ちゃん船を
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