゚あ》てに――やたらに上陸をいそぐものだ。が、上陸させちまっちゃあ話にならない。いたずらに老七面鳥マルガリイダをほくほく[#「ほくほく」に傍点]させるばかりで、何らわが新事業家リンピイの利得にはならないから、そこで彼らの上陸の前夜か、もしくは過半上陸しても不幸な当番だけ居残ってるところへ、暗いいんく[#「いんく」に傍点]の海を桟橋から一|艘《そう》の小舟《ボウテ》がこいで来て横づけになる。女肉を満載したボウテ! すると、訓練ある沈黙と速度をもって、五、六人の女隊が、アマゾン流域特産のぽけっと[#「ぽけっと」に傍点]猿みたいにするする[#「するする」に傍点]と船腹《サイド》の縄梯子《ジャコップ》を這い上って甲板へ現れる。これが真夜中の船の女客――船上商人《シップ・チャン》リンピイがひそかに駆り集めて来た「商品」だ。が、これも、昼間の市民としては、女中や場末の売子をしてる女達――相当若いの・かなり若いの・ほんとに若いの・少女めいたの・肥ったの・瘠《や》せたの・丸顔の・面長《おもなが》なの・金毛の・黒髪の――。
それらが次ぎつぎに船の手すりを跨《また》ぎながら、細い、太い、円い、めいめい色
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