B
これが毎晩である。桟橋と沖を往復する謎の女群。熟練を示すその沈黙と速度。At last, 大MYSTERYは僕のまえに投げられた。何のための毎夜のとりっぷ[#「とりっぷ」に傍点]? 女漁師? Absurd, 密輸団? Maybe.それにしても、何と祝福すべき小説――作者ライダア・ハガアド卿――的効果とシチュエイション!
山《サスペンス》もある。「|はてな《バッフル》!」もある。|大通り《ポロット》も|小みち《カウンタ・プロット》も充分ある。こいつにちょいと「|予期しない捻り《アンエクスペクテド・タアン》」さえ与えれば、ジョウンス博士主宰通信教授文士養成協会――名誉と財産への急飛躍! はじめて万人に開かれた成功の大秘門! 変名で有名になって親類知己をあっ[#「あっ」に傍点]と言わせ給え!――の「必ず売れる小説を作る法」の講義録にぴったり[#「ぴったり」に傍点]当てはまって、どうだ君、そろそろ面白くなって来たろう。NO?
まだまだこのあとが大変なんだ。
YES。港だから、そら、毎日船がはいるだろう。船乗りってやつは、女を要求して――たとえばマルガリイダの家のテレサなんかを目的《
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