I
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 は蛤《はまぐり》の大きなの。

     7

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けえいんてす!
い・ぼうあす!
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 これは「HOT・A・GOOD!」で焼き栗屋の売り声だが、そこで、朝のりすぼん港の日課的大合唱は――
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お! かしゅうれ!
さるでえにあす!
えいる・えいる!
むしりおおうん!
けええいんてす!
い・ぼおうあす!
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 AHA! すると、猫・猫・猫――何てまあ古猫・仔猫・野良猫の多いLISBOA!――に、その猫の一匹のような灰色にのろ[#「のろ」に傍点]臭い一日の運転が開始されて、無自覚によごれた群集が街角に立ち話して通行の邪魔をし出し、無自覚な Rua Aurea で銀物屋が鉄の折戸を繰りはじめ、傾斜を這う電車と町なかの大昇降機に無自覚な朝陽が光り、旅行者に乞食と子供が群れて乞食よりも子供のほうがしつこく一文《センテヴォ》をねだり、そこへ|富くじ《ロテリア》売りが札を突きつけ、軒いっぱいに布片地《キレジ》を垂らした羅紗屋の店が何町もつづき、市場をさして豚の列が大通りを追われ、弱そう
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