\―なんてことになるんだが、どうせお金で返ってくるんではなし、女もテレサ一人なんだから、そこでその夜の勝ちっ放しAが、テレサの待ってる二階の一室へ上ってくだけで、次点以下はいつも一さい切り捨てだった。この、負けてても勝ってても、正五時A・Mをもって打ちきり、そのときの札数《スタンデング》ひとつで最後のTALKをすることには、さすが博奕に苦労してる連中だけに案外さっぱりしてて、出そうなもの[#「もの」に傍点]言いもあんまり出なかった。それどころか、なかには、一番勝ちの札をぱらりと床へ撒いて、次点者にテレサを譲ってさっさ[#「さっさ」に傍点]と出て行ったりする見上げたSPORTYも現れたりして、この「マルガリイダの家」は大いに色彩的《カラフル》な人生の蛮地だった。もっとも、ときどき五時の決勝になって捻《ひね》ったことを言い出す|解らねえ胡桃《クラムズイ・ナッツ》も飛びだしたけれど、そんなのは大概自治的に客のあいだで押さえつけたし、すこし騒ぎが大きくなると、マルガリイダの眼くばせ一つで、跛足《リンピイ》リンプが大見得を切って例外なく綺麗に取っちめていた。
そして、明け方の五時から正午《ひる
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