Eウウとリンピイ・リンプは、こうしてそこの、波止場《カイス》の夜露と「|客間の香気《パフュウム・ドュ・サロン》」のなかではじめての握手を交したのだ。
ぱふ・ぱふ・ぱふ――暫らく黙ってたのち、煙草のあいだからリンピイが訊いた。
『何してる今。』
『ME?』
『YEA。』
『なんにもしてない――煙草をふかしてる。』
ぱふ・ぱふ・ぱふ―― and then,
『どこから来た。』
『ME?』
『YEA。』
『支那から。』
『英語は?』
『波止場《カイス》の英語なら、YEA。』
『GOOD! どうせお前なんかどこへ行ったっておんなじなんだろう。どうだ、俺んとこへ来て手伝《ヘルプ》しないか。』
『ME?』
『YEA。』
『何を――?』
『しっぷ・ちゃん。船上出張商人《シップ・チャンドラア》だ。知ってるだろう?』
ぱふ・ぱふ・ばふ――何と便利に自分から持ち上りかけた大MYSTERYのふた[#「ふた」に傍点]! |眼の眩む喜望《ダズリング・ホウプ》が僕の発声機能をまごまご[#「まごまご」に傍点]させて、ちょっと口が利けない。それをリンピイはさっさ[#「さっさ」に傍点]と承諾にきめて、早速踊るよう
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