ェ、赤白く光って浮かんだ。やっぱりみんな錨《いかり》を下ろすが早いか女のところへ上陸したに相違ない。ガルシア・モレノ号は僕の前にたったこれだけの人数《にんず》だった。が、勿論このポケット猿の連中が、総がかりで星を白眼《にら》み、暴風雨のなかで左舷《ポウト》・右舷《スタボウド》と叫び交し、釜を焚《た》き、機関を廻して来たのではないと、who could tell? 地球の色んな隅々《コーナアス》から旧大陸の端のはし「ほるつがる・りすぼん港」へこうして次ぎつぎに触《タッチ》していく貨物船の大商隊――ここには、あらゆる華やかさと恥と不可解がごく自然に存在し、事実、それらの堆積が鬱然《うつぜん》し醗酵してLISBOAを作ってるのだ。という証拠には、この「しっぷ・あほうい!」の物語も、前言のごとく僕じしんの経験《アンダゴウ》したその一つに過ぎない。Eh? What?
3
そもそもの葡萄牙《ポルトガル》入りから出直そう――。
水は、一度低いところへ下りたが最後、どうしても上へあがらないものと決定的に思われていた。羅馬《ローマ》人がそう考えていたというのだ。だから彼らは、不必要にも
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