sアプリシエイト》しても、それはしごくあたり前というべきです。なぜならば、このチャンバアス夫人は驚くほど親切な、おお! 何とまあ感嘆にあたいする婦人であるでしょう!』
すわりながら小野さんは日本語でつけたした。
『ひでえ婆《ばば》あでさあ、因業な――いやはや、どっかいい家はないでしょうかえ。』
五日ばかりして、小野さんのところへ小野さんが自分で打った電報が配達された。これはこうしちゃいられない――小野さんはチャンバアス夫人へそう言って、ひどくあわてて荷物といっしょに出て行った。どうも手ぎわのいいことである。
小野さんは自動車を有《も》っている。だからそれへ蓄音機とタイプライタアと鞄五個と尺八と、小野さん自身とを積載して、小野さんは絶えずロンドンじゅうを泊りあるいているのだ。
このとおり、小野さんはしじゅう下宿をさがしている。
いまもどこかで新しい下宿を物色していることだろうが、小野さんの場合、それは単なる下宿探しというべく、あまりに多分の内的要求がうかがわれる気がする。無意識のうちに、小野さんはホウムをもとめているのだ。その衝動がつねに小野さんをうごかすに相違ない。
ひろい
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