O同胞」の典型である――が、めいめい日本へ帰ったような at home さをもって自由に箸《はし》をうごかし、そしてより[#「より」に傍点]以上の、非常に驚くべき自由――おお! 感謝すべき自国語の特権よ!――をもって談じかつ笑っているのだ。
テエブルにつくと、HON給仕人――日本人の――がHON献立表《メニュウ》――日本語の――を持って“No”のように無言に接近してくる。昼食三|志《シリング》・夕食三|志《シリング》六|片《ペンス》とあって、ア・ラ・カアトのほうを見ると、こうだ。
そのいかに本格に日本的であるかを立証するため、左に出来るだけ忠実に写し取ることにする。
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舌代《ぜつだい》
お吸物 一|志《シリング》
刺身 十一|片《ペンス》
酢の物 十一片
天ぷら 一志五片
そば いろいろ 十一片より一志六片まで
うどん いろいろ 同
ざるそば 十片
蒲鉾《かまぼこ》 十一片
大根おろし 六片
味噌汁 九片
うに しおから 四片
御飯 九片
御漬物 三片
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