oえている。私は、出がけに靴をはき更《か》えて、その一足をいつものように乱雑に寝台の下へ蹴込《けこ》んでおいたはずだ。それがいまこうして壁の切り炉のまえにきちん[#「きちん」に傍点]と揃えてある。これはいい。私たちの留守のあいだに、宿のおかみさんが部屋を掃除することになっているのだから、そしてお神《かみ》さんは、貧乏にかかわらず人なみはずれて整理好きだったから、きょうに限らずいつだって私たちのぬぎ散らして出た靴は、おかみさんによって煖炉のまえに並べられるのがつねだった。
 しかし、問題は水である。
 下宿人の靴へ、しかもその片方《かたっぽう》へ、おかみさんが水をいっぱい注《つ》ぎこんでおこうとは、どうしても考えられない。が、事実は事実だ。このとおりいっぽうの靴に満々と水がみたされて、しかもかなり長時間そこに溜っていた証拠には、内側の皮のいろが水に溶けて、それはうすい黄味を帯びた透明な液体だった。ついでだが、四、五日まえにリジェント街のマンフィルドで買ったばかりの新しい靴なのだ。
『まあ! 何でしょう? あなた自分で入れたんじゃないわね! こんなところへ水を。』
『莫迦《ばか》な! 誰が
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