tは即座に結束して起《た》ち、決議をもって want−to−know−the−reason−why するであろう。だからストランドには、どこまで往《い》ってもおたがいに全然無関係な散歩者の列が、排他的に散歩のために散歩し、ピカデリイでは、芝居の切符を買う人が人道に椅子を据えて夕刊とたばこと相互の無言とで何時間でも待ちつくし、街角の酒場《パブ》、歴史的に権威ある“Ye Old White Horse”のまえには、いつもロイド・ジョウジを汚くしたような老失業者と、バルフォア卿にそっくりの非番のバス運転手とが、ひねもす政党政治と競馬との紳士的討論にふけっているに相違ない。そしてハイド公園の権威ある芝生では、やっとのことで「淑女」の売子嬢を伴《つ》れ出してきた「紳士」の番頭が、四、五年まえに紐育《ニューヨーク》で流行《はや》った made in U.S.A. の|駄じゃれ《ワイズ・クラック》を、いったいいつ口に出して彼女の尊敬を買ったものかと、そのもっとも効果的な瞬間を狙っている最中だろうし、権威あるタキシは絹高帽《シルクハット》と鳥の羽の団扇《うちわ》を積んでいかにも思慮ぶかく走り、トラファ
前へ
次へ
全66ページ中44ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
谷 譲次 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング