~りたり出来るんでしょう。』
なんてのはまだいいほうで、そうかと思うと、
『日本に鉄道がありますか。』
『保険がありますか。』
『新聞がありますか。』
にいたっては真面目に応対出来ない。と言って、黙って笑っていたんでは無いように思われるおそれがあるから、ごく紳士的に、
『あります。』
『あります。』
『ありますよ。』
『ありますとも!』
『大いにあります!』
そして――キュウ!
むこうもやっと安心して――キュウ! じつにしゅんぷうたいとう[#「しゅんぷうたいとう」に傍点]たるものだ。
さて、新聞でまた思い出したが――。
私は、あさ眼がさめるとすぐタイムス一面の上段、個人欄《パアソナル》を見るのを何よりのたのしみにしている。けさはこんなものが出ていた。
「いいえ、決して許す事は出来ません。あなたのしたことを一ばんよく知っているのは、あなたです――ウィニフレッドW。」
きのうは、
「五時に。いつものところで――S・K・N。」
一昨日《おととい》は、
「こぼれた牛乳を泣くなかれ。グロウリアよ、記憶せよ。わが家の食卓につねに一つの空椅子《あきいす》がなんじを待てることを――父。
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