を細ぎりに借りて、当日じぶんの借地へ自動車がとまるのを待って一車一日いくらと徴収し、多くはそれで一年の生計を立てているのだ。したがってその人々は、毎年、とよりも、家によって代々世襲のわけで、ここらがはなはだ英吉利《イギリス》の、そしてダアビイらしい――なんかちょっと感心しながら、またがり[#「またがり」に傍点]にしろ、これでいぎりすへ来て土地まで借りているというので大いに意を強うし、あらためて傾斜から丘の頂上を眺めると、色と人と音の渦の中央にいるんだから、まるで曲馬団の舞輪《リング》へ抛《ほう》り出されたようで、あちこちに廻転木馬・輪投げ・動揺椅子・電気るうれっと・糸引き・人形撃ち・玉ころがしなどのゲイムの小屋が茸《きのこ》のようにすくすく[#「すくすく」に傍点]と建ってそれぞれに客をあつめ、楽隊と木笛と風船の音が世界を占め、それらに君臨して螺旋《らせん》すべりの塔が高く中空を抜いて、賭取人《ブック・メイカア》の色傘と黒板と嗄《しゃが》れ声とにきょうの日はさんさん[#「さんさん」に傍点]と降り――ジプシイの女がショウルをかけて、人波をわけている。多くは赤んぼ――ジプシイの――を抱いてい
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