《リヴァ》!
何もかも知っていて
だがしかし黙って
ただじっと流れてゆく
お前は河《リヴァ》のお爺さん
[#ここで字下げ終わり]
――河《リヴァ》はあのミシシピのことだ。いま倫敦《ロンドン》のドルウリイ・レイン座は、エドナ・ファウバアの小説からとった、亜米利加《アメリカ》渡来の楽劇「芝居舟《ショウ・ボウト》」を演《だ》して大当りを取っているが、そのなかでポウル・ロウブスンという黒人のテノルが歌う「河の唄」が人気を博して、ここでこの真珠王と女王がうたっているのもその「芝居舟《ショウ・ボウト》」の一節だった。
ま、これもどうでもいいとして――。
自動車は五|志《シリン》かそこらでそとへ預《パアク》しておくことも出来るが、私たちは、青年ブリグスがこすく立ち廻った結果、大観覧席のすぐまえ、コウスに近いところへ割り込んで行って、車に乗ったまま見物することになった。すると、どこからともなく一人の女が切符をもって場所代を取りにくる。一|磅《ポンド》というのをこれはナオミ・グラハム夫人が十五志に値切り倒したが、これらの人は、競馬のときだけエプソム・ダウンのコウスに沿った何英町という土地《ラット》
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