ク」に幻滅を感じだし、フランクはまた「お姫さま」を持てあましてきたところに大きな原因が存する。その間にあって活躍してきたのが、アドロフ・マンジュウ扮するところの好色有閑紳士・故ルディ・バレンチの専売の「シイク型」だ。ところが最近にいたって「小さなお姫さま」もその地位にあきたらなくなり、自分も早くから夫君の「事業」に首を突っ込んで、ともに苦労しようという傾向。そこで流行《はや》りだしたのが早婚の「友達結婚」。しかし、これで離婚の率が減るかどうかは、ちょっと判断をゆるすまい。
3
ユダヤ系大ジャズマニア帝国の印象。
両側の高層建築物は雲へ突入して、道路は人造グランド・キャニヨン。
昼でも暗いので電灯がかんかん[#「かんかん」に傍点]ついて、夜も昼のようだ。
W・J・Zの放送。
アロウ・カラア。
車道は、自動車がぎっしりつまって流れるように動いているが、歩道には人っ子ひとり影を見せない。
すると!
ある街角へ来かかった時だった。向うからひとりの男が、その無人の境の往来を歩いて来るのを見て、自動車の窓から声あり。
「あらっ! 人が歩いてるわ。」
同じく声。
「ど
前へ
次へ
全16ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
谷 譲次 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング