ま》、馨架《けいか》、雲板《うんばん》、魚板《ぎょばん》、木魚《もくぎょ》など、余は略します。

 前陳の各種を製作するにつき、これに附属する飾り金物《かなもの》、塗り、金箔《きんぱく》、消粉《けしこな》、彩色《さいしき》等の善悪《よしあし》を見分ける鑑識も必要であります。
 まず「飾り」であるが、飾りには、金|鍍金《めっき》と「消し差し」の二つ。箔を焼きつけたものが鍍金で、消粉を焼きつけるのが「消し差し」です。
 金物の彫りの方では、唐草《からくさ》の地彫《じぼ》り、唐草彫り、蔓《つる》彫り、コックイ(極印《ごくいん》)蔓などで地はいずれも七子《ななこ》です。
 塗り色にも種々ある。第一が黒の蝋色《ろういろ》である。それから、朱、青漆《あおうるし》、朱うるみ[#「うるみ」に傍点]、ベニガラうるみ[#「うるみ」に傍点]、金|白檀《びゃくだん》塗り、梨子地《なしじ》塗りなど。梨子地には、焼金《やききん》、小判《こばん》、銀、錫《すず》、鉛(この類は梨子地の材料で金と銀とはちょっと見て分り兼ねる)。
 塗りにも、塗り方は、堅地《かたじ》と泥地《どろじ》とあって、堅地は砥粉地《とぎこじ》と桐
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