ずえ》には、いつの間にやら再び綺麗《きれい》な美しい花をみせています。かくて年を迎え、年を送りつつ、たとい花そのものには、開落はありましても、桜の木そのものは、依然として一本の桜[#「一本の桜」に傍点]です。
一休と山伏[#「一休と山伏」は太字] ある日のこと、ある山伏《やまぶし》が、一休|和尚《おしょう》に向かって、
「その仏法はいずこにありや」
と、詰問したのです。すると和尚は即座に、
「胸三寸にあり」
と答えました。これを聞いた件《くだん》の山伏、さっそく、懐中せる小刀をとり出し、開き直って、
「しからば、拝見いたそう」
と、つめよったのです。そこは、さすが機智《きち》縦横の一休和尚です、すかさず、一首の和歌をもって、これに答えました。
[#ここから2字下げ]
としごとにさくや吉野のさくら花|樹《き》をわりてみよ花のありかを
[#ここで字下げ終わり]
これには勢いこんでいた山伏も、とうとう参って、その後ついに和尚の弟子になったということです。
空なる状態[#「空なる状態」は太字] まことに、因縁より生ずる一切《すべて》の法《もの》は、ことごとく空です。空なる状態に
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