般若心経講義
高神覚昇
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)空《くう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一千二百八十余年|以前《まえ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「やまいだれ」、第3水準1−88−44]
[#…]:返り点
(例)行[#(ズル)][#二]深
[#(…)]:訓点送り仮名
(例)行[#(ズル)]
−−
序
いったい仏教の根本思想は何であるかということを、最も簡明に説くことは、なかなかむずかしいことではあるが、これを一言にしていえば、「空《くう》」の一字に帰するといっていいと思う。だが、その空は、仏教における一種の謎で、いわば公開せる秘密であるということができる。
何人にもわかっているようで、しかも誰にもほんとうにわかっていないのが空である。けだし、その空をば、いろいろの角度から、いろいろの立場から、いいあらわしているのが、仏教というおしえである。
ところで、その空を『心経』はどう説明して
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