あるのです。まさしく「樹を割りてみよ、花のありかを」です。雪ふりしきる厳冬《まふゆ》のさ中に、花を尋ねても、花はどこにもありませぬ。これがとりも直さず「色|即《すなわ》ち是れ空」です。しかし、霞たなびく春が訪れると、いつとはなしに、枯れたとみえる桜の梢には、花がニッコリ微笑《ほほえ》んでおります。これがすなわち「空即ち是れ色」です。何事によらず、いつまでもあると思うのも[#「いつまでもあると思うのも」に傍点]、むろん間違いですが[#「むろん間違いですが」に傍点]、また空だといって[#「また空だといって」に傍点]、何物もないと思うのももとより誤りです[#「何物もないと思うのももとより誤りです」に傍点]。いかにも「謎《なぞ》」のような話ですが、有るよう[#「有るよう」に傍点]で[#「有るよう[#「有るよう」に傍点]で」は太字]、なく[#「なく」は太字]、無いようで[#「無いようで」は太字]、ある[#「ある」は太字]、これが世間の実相《すがた》です。うき世のほんとうの相です。だが、決してそれは理窟[#「理窟」に傍点]ではありませぬ。仏教だけの理論ではないのです。それは、いつどこでも誰《だ》れ
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