す。とにかく私どもの世の中にある一切の事物は、みな孤立し[#「孤立し」に傍点]、固定し[#「固定し」に傍点]、独存し[#「独存し」に傍点]ているのではなくて、実は、縦にも、横にも、無限の相補的関係、もちつ、もたれつの間柄にあるわけです。すなわち無尽の縁起的関係[#「無尽の縁起的関係」に傍点]にあるわけです。したがって現在の私どもお互いは、無限の空間と永遠の時間との交叉《こうさ》点に立っているわけです。
 地下鉄道と船喰虫[#「地下鉄道と船喰虫」は太字] 今からちょうど百年ほど前です。ロンドンのテームス河の畔《ほとり》で、一匹の小さい船喰虫《ふなくいむし》が、頻《しき》りに材木をかじっていました。ちょっときくと、それは私どもお互いとは、なんの関係もないようです。しかし一度でも、あの地下鉄を見た人、地下鉄に乗った人ならば、断じて無関係だとはいえませぬ。なんの因縁もないなどとはいえないのです。なぜかというに、いったい地下鉄道の発明者ブルーネルが、テームス河の、河底を掘り得たことは、何に由来しておるのでしょう? 材木をかじる、あの船喰虫にヒントを得たのではありませんか。そして、「人間の力では、
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