しているのではありませんか。私は現にただ今この東京|鷺宮《さぎのみや》の無窓塾《むそうじゅく》の書斎でペンを動かしています。これはもちろん、簡単な事実[#「簡単な事実」に傍点]です。しかしこの無窓塾がどこにあるかを考え、私、および私の故郷|伊勢《いせ》の国のことなどを考えて、だんだん深く、そして広く考えてゆきますと、終《つい》にはこの一箇の私という存在は、全日本はおろか、全世界のすべてに関係し関聯《かんれん》していることになるのです。かように、一事一物、皆ことごとく関聯していないものはないのです。ただ、私どもがそれを知らないだけのことなのです。しかし知ると知らざるとにかかわらず、一切のものは[#「一切のものは」に傍点]互いに無限の関係《つながり》において存在しているのです。次にまた時間的に申しましても、今日という一日は、決して昨日なしにないのです。明日ときり離して、今日一日だけがあるのではありません。今日は単なる今日でなくて、ライプニッツのいうように、「昨日を背負い[#「昨日を背負い」は太字]、明日を|孕[#「明日を|孕」は太字]《はら》んでいる今日[#「んでいる今日」は太字]」なので
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