リハ》の市中を歩いている時です。偶然にも彼は釈尊のお弟子のアシュバーヂットすなわち阿説示《あせつじ》というお坊さんに出逢ったのです。そしてその阿説示から思いがけなく、次のごときおどろくべき真理の言葉を聞いたのでした。
「一切の諸法は[#「一切の諸法は」に傍点]、因縁より生ずる[#「因縁より生ずる」に傍点]、その因縁を如来は説き給う[#「その因縁を如来は説き給う」に傍点]」
というのがそれです。今日の私どもには、なんでもない平凡な言葉としか聞こえませんが、さすがに舎利弗には、この「因縁」という一語《ことば》が、さながら空谷《くうこく》の跫音《あしおと》のごとくに、心の耳に響いたのでした。昔から仏教では、この一句を「法身偈《ほっしんげ》」または「|縁起偈[#「縁起偈」は太字]《えんぎげ》」などといっていますが、彼はこの言葉を聞くなり、決然として、永《なが》い間、自分の生命《いのち》とも頼んでおった、婆羅《ばら》門の教えをふり捨てて、ただちに心友の目連尊者といっしょに、釈尊のみ許《もと》に馳《は》せ参じ、ついに仏弟子となったのであります。「因縁[#「因縁」に傍点]」の語を聞いて、仏教に転向
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