塵が無数にある。その塵に、太陽の光線が反射すると、あの東天日出[#「東天日出」に傍点]、西天日没[#「西天日没」に傍点]の、ああした美しい、自然の景色が見えるのだ、といっておりますが、こうなると「塵の効用」や、きわめて重大なりといわざるを得ないのです。
周利槃特の物語[#「周利槃特の物語」は太字] 塵といえば、この塵について、こんな話がお経の中に書いてあります。それは周利槃特《しゅりはんどく》という人の話です。この人のことは、近松門左衛門の『綺語《きご》』のなかにも、「周利槃特のような、愚かな人間でも[#「愚かな人間でも」に傍点]」と書いてありますくらいですから、よほど愚かな人であったに相違ありません。あの「茗荷《みょうが》」という草をご存じでしょう。あの茗荷は彼の死後、その墓場の上に生《は》えた草だそうで、この草を食べるとよく物を忘れる、などと、世間で申していますが、物覚えの悪い彼は、時々、自分の姓名さえ忘れることがあったので、ついには名札を背中に貼《は》っておいたということです。だから「名を荷《にな》う」という所から、「名」という字に、草冠をつけて「茗荷《みょうが》」としたのだと
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