いたるその時まで、
人生は苦の連続である。揺籃《ゆりかご》からとり出される。
それから気兼ね苦労で育て上げられる。
さて、こうした末に、なり上がった人の命が不壊《ふえ》なればこそ、
生命の頼りがたなさは、水に描ける絵、砂に刻める文字もおろかである。
内地にいて感情を満足させたい、
これはけだし人間の病気である。
海を越えて、他国に行くことは、
困難であり、また危険である。
時には戦争があって、われらを苦しめる。
が、しかし、それが終われば、
こんどは又平和のために一層苦しむ。
[#ここで字下げ終わり]
こうして一々数えていったあげくの果ては、何が残るか。生まれたことや、死ぬことを悲観する。残るのは、ただこれだけである。
三界は火宅[#「三界は火宅」は太字] あの有名な『法華経《ほけきょう》』は、またわれらに告げています。
[#ここから2字下げ]
三|界《がい》は安きことなし、猶《なお》火宅の如し
衆苦充満して、甚《はなは》だ畏怖《おそる》べし
つねに生、老、病死の憂患《うれい》あり
是《かく》の如き業の火、熾然《しねん》として息《や》まず
[#ここで字下げ終わり]
私どもの
前へ
次へ
全262ページ中130ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
高神 覚昇 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング