じて悟りを開くということと同じ意味で、要するにわれわれ迷いの人間が、悟れる仏陀《ほとけ》になるということです。ところで、ここにいう般若の智慧とは、決して愚痴といわれ、識といわれる、人間のもっているあさはかな智慧ではないのです。それは知らざるもの[#「知らざるもの」に傍点]、眠れるもの[#「眠れるもの」に傍点]、迷える人間の智慧ではなくて[#「迷える人間の智慧ではなくて」に傍点]、知れるもの[#「知れるもの」に傍点]、目覚めたるもの[#「目覚めたるもの」に傍点]、悟れる人[#「悟れる人」に傍点]の智慧です。それは宇宙の真理を体得した、仏陀(覚者)のもてる智慧です。真理の智慧、真理を悟った智慧、それがとりも直さず般若の智慧[#「般若の智慧」に傍点]であります。
 ものの道理[#「ものの道理」は太字] さてここで、一言申し添えておきたいことは、真理[#「真理」に傍点]ということです。真理とはなんぞや? ということを、開き直って研究するとなると、たいへんめんどうな、むずかしいことになりますし、またそれを学問的に説明している余裕《ゆとり》もありませぬが、一言にして真理とは何かといえば、それはつま
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