霊薬)の名にてもてはやされ、丁度《ちやうど》希臘《ギリシヤ》神話の中の諸神が生命の培養に用ひたと伝へらるるアムブロジアのやうな役目を演じて居る。
サツフオード氏の報告に依るに、西インド諸国及び南米に住むインド人共は現今も種々の麻酔薬を用ふるのであつて、それはピブタデニア・ペレグリナと称するものから生ずる物質であるといふ。其他《そのた》阿片《あへん》にしろ大麻《だいま》にしろ何れも麻酔作用を有するものであつて、大麻の如《ごと》きは古来印度の僧侶が「定《じやう》」に入るときに用ひたものである。話は少し外《そ》れるが後《のち》に探偵小説を論ずるときに必要であるから「定《じやう》」に入ることに就て茲《ここ》に少しく述べて置かう。
蛇や蛙其の他の動物が所謂《いはゆる》冬眠を行ふことは周知の事実であるが、人類には本来かゝる能力は存在しない。ところがある人々にとりては事実上かゝることが可能である。大覚世尊《たいかくせそん》(釈迦)が年七十二の時、法機|漸《やうや》く熟して法華|爾前《にぜん》に於ける権実《ごんじつ》両教の起尽を明かにするため無量義経《むりやうぎきやう》を説き「四十余年|未顕真実《
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