るので遂に眼を返して貰ふために教へる。教へられた儘《まゝ》に飛び行き、三人の処女を見つけて来意を告げる。処女等は快く三つの品を呉れる。それは鎌の様に湾曲した太刀と、鏡の如く輝く盾《たて》と、今一つは革嚢《かはぶくろ》である。この外《ほか》になほ「闇隠れの兜」を呉れる。この兜を載くと何物も其の姿を見ることが出来ぬやうになるのである。
かくてゴーゴンの在所《ありか》を三人の処女から教はつたパーシユーズは、四つの品を携へてゴーゴンの棲処《すみか》に向つた。愈《いよ/\》目的地に来て見ると三つのゴーゴンは熟睡して居る。千条の蛇《じや》も等しく眠つて頭から肩に懸つて居る。中央に顔を空に向けて眠つて居るのがメヂューサである。直視するとこちらが石に化して了《しま》ふから、盾の鏡に映る像を目標として近づき、矢庭《やにわ》に剣を抜いて切り附くるとメヂューサの首は宙に飛んだ。手早く革嚢に取り入れて再び虚空に舞ひ上り兜を載いて大急ぎに引き返す、その時|他《た》の二個の怪物はメヂューサの死骸を見て大《おほひ》に怒り忽《たちま》ち跡を追つかけたけれども、伝令神の沓には及ばず、パーシユーズは首尾よく虎口を脱《の
前へ
次へ
全27ページ中22ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小酒井 不木 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング