ていることを私は思い出しました。
 このとき書生の青木が小さい書物をもって入ってきました。見るとその表紙に『電信符号』と記されてありました。
「兄さん、仮名をトンにし、漢字をツーにして、早く、この十二組の文字を書き直して、どういう仮名文字に相当するか検《しら》べてください」
 私はやっとかかって左のとおり検べあげました。

[#ここから3字下げ]
を行って  ― ―― ― ―     カ
での写真  ― ― ―― ――    ノ
違って今ま ―― ― ― ―― ―  モ
能と見做さ ―― ― ―― ―― ― ル
た赤をは  ― ―― ― ―     カ
黄や緑   ―― ― ――      ワ
至る迄そ  ―― ― ―― ―    ニ
く白い様に ― ―― ― ―― ―  ン
しむる事  ― ― ― ――     ク
に写真術  ― ―― ―― ――   ヲ
影者が之を ―― ―― ― ―― ― シ
とに最もお ― ― ―― ― ―   ト
[#ここで字下げ終わり]

 せっかく検べてみても、「カノモルカワニンクヲシト」では何のことか分かりませんでしたが、ふと顔をあげると、俊夫君は、に
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